取締役会に虚偽報告横行、日本郵便の説明に「あり得ない」批判噴出

藤田知也
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 移転先の郵便局舎を郵便局長に持たせるため、取締役会への虚偽報告が横行していた日本郵便。理由について「手続きの理解不足」「意図しないミス」で起きたとする同社の説明に、社内外から批判が出ている。

 日本郵便は先月26日、全国13支社のうち9支社の52人が103件の虚偽報告に関わっていたと発表した。このうち17人は管理職で、部下に虚偽報告を指示した例もあった。

 同社では不当利得を防ぐため、社員が土地を借りたり買ったりして局舎を建てるのは原則禁止している。局長の物件取得は、地主が同社との直接取引を拒むなど「真にやむを得ない場合」に限り、取締役会決議や公募も経て例外的に承認される仕組みだ。

 公表資料では、「調達手続きの趣旨や重要性の理解が希薄」だった支社社員たちが、業務の煩わしさなどから虚偽報告に及んだと説明。担当役員は会見で「手続きのミス」「意図したウソではない」と述べ、「組織ぐるみではない」とも主張した。

 これに対して、ある支社の社員は、業務が煩わしいからとウソをつく社員が何十人もいるわけがないと訴え、「問題をうやむやにして現場をスケープゴートにしただけだ」と憤る。

 企業ガバナンスに詳しい八田進二・青山学院大名誉教授は「後付けで理由を加えた調査結果であり得ない」と指摘。調査を担った日本郵便のコンプライアンス部門についても「信用を失うことになる」とし、「長期で広範な不正は外部の目で調べないと意味がない」と話す。(藤田知也)

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