ウクライナ侵攻で存在感のエルドアン氏に逆風 大統領選挙は大接戦

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イスタンブール=高野裕介
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 中東の地域大国トルコの大統領選・議会選が14日に行われる。約20年にわたり政権を握ってきたエルドアン大統領(69)が続投できるかが最大の焦点で、世論調査では大接戦となっている。ロシアによるウクライナ侵攻で仲介役として動いてきたトルコのリーダーは誰になるのか。国際社会の注目が集まっている。

 大統領選には計4人が立候補している。与党・公正発展党(AKP)の党首で現職のエルドアン氏と、野党6党の統一候補である最大野党・共和人民党(CHP)のクルチダルオール党首(74)の事実上の一騎打ちになる見込みだ。

 各種の世論調査での支持率はともに40%台で拮抗(きっこう)しており、わずかな差でクルチダルオール氏が優勢のものが多い。11日には前回大統領選でCHPの候補者としてエルドアン氏と争ったインジェ氏が選挙戦からの撤退を表明。クルチダルオール氏に票が流れ、有利に働くとの見方もある。

 2002年にAKPが政権を取って以来、エルドアン氏は首相時代を含めて約20年にわたって、トルコを率いてきた。外交面では「強いトルコ」を演出し、強硬な姿勢はときに欧米諸国の強い反発を招いた。

プーチン氏との親密な関係で存在感

 昨年5月、ウクライナ侵攻を受け、長く軍事的中立を保ってきたフィンランドスウェーデン北大西洋条約機構(NATO)加盟を決断すると、エルドアン氏は自国が「テロ組織」に指定する勢力に両国が活動場所を与えているとして、加盟に「待った」をかけた。今年に入ってフィンランドの加盟は認めたが、スウェーデンについては今も実現していない。

 一方、昨年2月の侵攻以降、NATOの一員でありながら、エルドアン氏はロシアのプーチン大統領との密接な関係を生かし、ウクライナのゼレンスキー大統領との仲介に動いた。双方と会談や電話協議を重ねるなど、存在感を示した。

 3月には両国の外相会談や停戦協議をトルコで開催。7月には国連とともに、ウクライナからの食料輸出の合意につなげた。

対抗馬の候補が当選なら「親欧米」外交に転換か

 一方、対抗馬のクルチダルオール氏は、より親欧米の外交方針にかじを切るとみられている。その場合、トルコが参加していない対ロ制裁への同調を欧米が求めてくることもあり得るため、ロシアとの関係に影響を及ぼす可能性もある。

 政権を獲得して以降、著しい経済成長を成し遂げ、低所得層への福祉政策を充実させるなどして支持基盤を築いてきたエルドアン氏だが、今回の選挙では、かつてない逆風にさらされている。

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