第4回「雇い止め」が加速する研究現場 日本の科学力衰退を止める手立ては

有料記事研究者を「使い捨て」にする国

聞き手・村山知博

A-stories 研究者を「使い捨て」にする国

 この春、有期雇用の期間が通算10年を超えるという理由で、大量の研究者が「雇い止め」となった可能性がある。科学技術立国をめざしている日本で、なぜこんなことが起きるのか。研究現場の実情に詳しい一般社団法人「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表に聞いた。

 ――文部科学省が全国の大学や研究機関を対象に昨年9月時点の状況について聞いた調査では、今年3月末に通算10年となる研究者のうち、本人の希望以外の理由で契約を打ち切られる人は千人を超え、5千人近くが契約が「未定」という結果でした。

 榎木 他の研究機関に移ったり民間企業に転職したりすることができた人はまだしも、無職になった人たちもけっこういるのではないかと私はみています。裁判に訴えている人もおられますが、詳しい実態はよくわかっていません。

 声をあげるとバッシングされるのではないか、就職活動に悪い影響があるのではないかと考え、ほとんどの人たちが声をあげられないからです。日本の研究現場には「頭を使わず手を動かせ」「待遇に文句をいうやつは仕事ができない」といった不健全な風潮がまだまだありますので。

 ――研究者の場合、改正労働契約法などにより、10年を超えると無期雇用への転換を求めることができるというルールがあります。本来は腰を据えて研究に取り組んでもらうため、無期雇用への転換を促す制度のはずなのに、なぜこんなことになっているのでしょう。

 榎木 10年超の研究者たち…

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