性的少数者への冷たい「スイッチ」入る前に 私たちは差別から学べる
性的少数者(LGBTなど)への理解を広める活動を続ける遠藤まめたさん(36)は、ネットで活動を広げてきました。ただ、最近は差別的な言葉が飛び交うネット空間に、「半分、あきらめも感じている」といいます。それでも発信し、差別を乗り越えるために問い続けることとは。
最近、多様性について学んだことはありますか?
記事で問いかけ→皆さんの声→遠藤さんのRe:
新サイト「Re:Ron」では、記事の末尾にある「おたよりフォーム」から遠藤さんにあなたの声を伝えられます。読者の皆さんからいただいた「おたより」をもとに、遠藤さんに改めてお話をうかがい、記事にする予定です。
――遠藤さんにとって、ネットはどのような空間ですか。
高校の頃、自分のロールモデルを初めて見つけられたのがネットでした。
性別に違和感を覚えており、図書館やネットで調べて、自分がトランスジェンダーだと気づきました。それから同じ当事者のブログを読むようになりました。服の選び方や髪形のこと、日々の悩みなど、こんな生き方もあっていいんだと、とても影響を受けました。
――少数派であるLGBTなどの当事者と、つながる場でもあったそうですね。
大学に入ってSNS「ミクシィ」でコミュニティーをつくるようになり、LGBTの若い世代とつながり、支援してきました。地理的、経済的な制約を超え、当事者がつながりあえたのはネットだからこそです。
でも、ネットを取り巻く環境は大きく変わってきています。
「誰かの怒りに共感しないと」感じる圧力
毎年5月17日の「多様な性にYESの日」(IDAHO〈アイダホ〉)に合わせ、当事者などから集めたメッセージを読むイベントを2007年からやってきましたが、今年で閉じることになりました。
当事者のコミュニティーが増え、一定の役割を果たしたことが理由ですが、2010年代までは性善説でメッセージを募ることができたのが、昨今はいたずらやなりすましのリスクが高まりました。誰かが書いたメッセージを読むスタイルで、責任を持って発信することが難しくなったことも感じていました。
――何が変わったのでしょう。
ネットは前より殺伐として、悪意が拡散されやすい。誰かの怒りには共感しないとたたかれる、という圧力を感じます。
見たいものを見てしまう
――圧力は、どう影響していますか。
意見が異なる人とも、共通認識を積み上げて議論することが難しいと感じます。
昨年、埼玉県で「性の多様性…
- 【視点】
異性愛者で生まれた時に判定された性と性自認が一致している女性/男性は、自分を女性/男性として理解することが容易であり、他人もそれを認めてくれます。しかし、LGBTQ +の人たちは、性別をめぐる「常識」の外側に位置づけられているため、アイデン
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