生成AI、著作権の論点 生まれた作品は誰のもの?誰々風と指示は?

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神宮桃子
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 画像や文章、音楽などを作り出す生成AI(人工知能)が広まる中、著作権侵害の懸念も出ている。集めた大量のデータをAIに学習させ、生成を指示し、作品が生み出される――。その様々な過程で論点がある。著作権に詳しい福井健策弁護士に聞いた。

許諾なく学習、日本の著作権法では

 《AIが勝手に作品を学習して良いの?》

 原則として、許諾なく学習して良い、という規定が日本の著作権法にはある。2018年に法改正された。このAI学習に限らず、デジタル社会に追いつくための法改正が10年代にいくつもなされた。

 いまAI学習に対し、一部のクリエーターから強い反発が起きている。ただ、人間も既存の作品の作風を学んできた。学習自体が良くないから抑え込もうというのは、法制度上は正当化されにくいのではないか。とはいえAIの学習は、大規模であまりに容易に成し遂げられているように見えるので、納得がいきかねるのだろう。AIによる人間の活動の侵食の問題として以前から言われてきたことが、顕在化したと思う。

 一方、この条文には「著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」とあり、それがどんな場合かの議論が高まっている。例えば、特定の作家の作品ばかりAIに学習させ、元の作品と競合するような作品をどんどん生み出してしまうような場合は、学習自体が問題だということはありうる。

 一定の学習は自由に認めるべきだと思うが、クリエーターの許諾や同意に基づいて作品を提供してもらい、それを学習してAIが生み出したコンテンツから収益を還元するという方法も発達していくだろう。

「○○風」と指示、作風を超えてしまうと…

 《AIに、ある作家の名前を挙げ「○○風の絵を作って」と指示できる?》

 「○○風」と指示すること自…

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    インベカヲリ★
    (写真家・ノンフィクションライター)
    2023年4月30日16時15分 投稿
    【視点】

    「人間も既存の作品の作風を学んできた」というのは確かにそうだが、これは有名な作品であることが前提になる。 たちが悪いのは、無名の人の作品を有名な人が真似るケースで、無名の人がいくら「真似された」と言っても、発表の場が少なければ信用してもら

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