捨てられない負動産、「放棄」制度始まるが…条件は更地、お金も必要

有料記事

松浦新

 相続したものの持てあましている土地を国が引き取る「相続土地国庫帰属制度」が27日から始まる。利用できず、買い手もみつからない「負動産」を所有者不明の土地にしないための対策の一つだ。ただ、国が引き取る条件として更地にしなければならず、負担金の支払いも生じる。そのハードルは高そうだ。

 親などからの相続財産を引き受けない方法には、相続放棄がある。しかし、いらない財産を選んで放棄はできず、簡単には利用できないため相続したものの使うあてがなく、借り手も買い手もつかない家や山林、農地などが増えている。いったん所有者になれば、不動産の管理や固定資産税といった負担だけを背負い、手放したくても手放せない「負動産」になってしまう。

 こうした相続土地を国が引き取る制度の条件は、細かく定められている。建物がない更地で、誰かが利用していたり利用する予定があったりしないこと。担保権などの権利の設定もなく、境界線が明らかであるなどだ。空き家が立っていたら壊す必要がある。

 厳しい条件をクリアしたとしても、国に引き取ってもらう際には、負担金や手数料が生じる。

 負担金は、市街化区域にある100平方メートルの宅地では54万8千円、100平方メートルの森林では21万5千円というように、面積や用途に応じた目安がある。これとは別に、書類をそろえて法務局に申請する際には、土地1筆あたり1万4千円の審査手数料もかかる。

 申請ができるのは相続などで土地を取得した相続人で、共同所有の場合は全員の合意が必要だ。

 不動産登記は義務ではないので、相続人が登記をしないケースも多い。処分する場合は改めてすべての相続人の合意をとって登記をする必要がある。未登記の期間が長いほど、その間に誰かが亡くなるなどして新たな相続人が増えており、より合意は難しくなる。

 未登記が増えた結果、所有者不明土地の問題が浮かび上がってきた。

 民間の研究会は、こうした土…

この記事は有料記事です。残り345文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません