米坂線、豪雨被害復旧に86億円、JR東が試算

茂木克信
[PR]

 昨年8月の豪雨で甚大な被害が出て一部区間の運休が続くJR米坂線について、JR東日本は25日、復旧にかかる費用を約86億円とする試算を発表した。工期は5年ほどを見込んでいるとし、沿線の山形、新潟両県と各自治体に説明したうえで協議を始めたい考えを明らかにした。

 米坂線は今も、今泉(山形県長井市)―坂町(新潟県村上市)間で運休している。同社新潟支社によると、線路を敷いている盛り土の流出や斜面崩落による土砂流入、通信ケーブルの断線などの被害があり、山形県側68カ所、新潟県側44カ所の計112カ所に上る。

 中でも山形県側では、飯豊町の小白川橋梁(きょうりょう)が崩落するなど、萩生(飯豊町)―羽前沼沢(小国町)間に53カ所が集中する。新潟県側では、越後大島(関川村)―坂町間で被害が目立つという。

 試算では、盛り土など土木構造物の再建費用が約50億円とされた。このほか、小白川橋梁の復旧に約16億円、線路を敷き直すのに14億円、通信ケーブルなど電気関係の設備の復旧に約6億円かかるという。

 土木工事に3年~3年半を要し、線路をつなぎ終えるのは着工から3年半~4年後になる見通し。その後、ケーブルをつないで信号機や踏切などの動作確認をするのに1年ほど必要という。

 小川治彦・新潟支社長は25日の記者会見でこれらの数字を示したうえで、「私どもが単独で復旧させることは非常に判断しづらい」とし、沿線自治体に何らかの協力を求める考えを述べた。また、「あらゆる可能性を探る」としてバス路線への転換にも含みを残す一方、同社として「地域交通の役割を放棄することは考えていない」と強調した。

 同社は5月の大型連休明けから沿線自治体への説明を順次始めるとしている。(茂木克信)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【本日23:59まで!】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら