ぶかぶかの男性用背広を着せられ…林香里さんが感じた「つらさ」とは
初の女性筆者として朝日新聞の「論壇時評」を担当した林香里・東京大学大学院教授(ジャーナリズム研究)が2年の任期を終えた。マイノリティーや人権の視点を積極的に取り入れてきた林さん。3月の最終回では、執筆し始めた2021年春のことをこう振り返った。
「『論壇時評筆者』というまるでぶかぶかの似合わない男性用背広を着せられた気分で船出」
男性筆者が続く中でできあがった「ぶかぶかの男性用背広」とは、どんなものだったのか。2年間で変化はあったのか。林さんに振り返ってもらった。
――「初の女性筆者」という言葉がつきまとったのではないかと想像しますが、気負いみたいなものはありましたか。
実はそんなにないんです。たぶんわたしの年代の人は色んな場所でしょっちゅう、「初めての女性」や「たった一人の女性」ということを言われていますから。呼ばれることはしょうがない。男にかわるわけにもいきませんし。わたしを選んだのは朝日新聞社ですから、わたしにできることをしよう、と思っていました。ただ女性という意味で、つらさはありました。
――どのようなつらさでしょうか。
雑誌やネットの論考を紹介しながら時事問題を論じる「論壇時評」。3月まで担当した林香里さんが執筆を振り返りました。書けば書くほど感じた「つらさ」とは。後半ではその原因について語ってもらいました。
女性筆者として、なるべく女…
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- 【視点】
不肖・私、サッカー女子W杯の担当デスクをしておりました。その仕事を終えて改めてこの林香里さんのインタビューを読み返すと、違った景色が見えてくるような気になります。 論壇時評の「男性性」について、林さんはこうおっしゃっています。
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