減り続ける記者 ネット時代に足元照らすメディアは

有料記事メディア空間考

メディア空間考 東野真和

 3月、「大槌新聞」の菊池由貴子さん(48)がラジオ番組に出た。東日本大震災後、岩手県大槌町で「ひとり新聞社」を立ち上げた地域ジャーナリズムの体現者だ。

 全国メディアからよく「ネタに困りませんか?」と問われることが話題になり、菊池さんはこう答えた。

 「東京で天下国家を論じてるような方も、住んでる町とか出身地の問題、どういうことが起きてるかっていうのは知らないはずです。大槌にもちゃんと政治はあります」

 出演後、菊池さんに話を聞いた。「足元をおろそかにしたら日本はだめになる」と危機感を持っていた。

 地方で取材する身としてうな…

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    磯野真穂
    (東京工業大学教授=応用人類学)
    2023年4月26日7時4分 投稿
    【視点】

    「情報はタダである」と多くの人が考えている現状に加え、暮らしている地域より、ネット内のつながりに重きを置く人が増えていることも衰退の原因だと思います。 全ての身体はどこかの地域に根ざした形で生きています。その意味で、暮らしている地域は身体

    …続きを読む