3世紀初めの木製仮面、大阪の遺跡から出土 ヤマト王権に関わりか

宮崎亮
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 3世紀初めごろのものとみられる木製仮面が、大阪府東大阪市にある集落跡「西岩田遺跡」から出土した。府文化財センターが24日、発表した。この時代の木製仮面は全国で3例目といい、専門家は「地域の有力者による大規模な農耕祭祀(さいし)に使われたのではないか」とみている。

 センターによると、木製仮面の素材はスギで、長さ約30センチ、幅約18センチ、厚さ最大2センチ。三つの穴が両目と口を、中心付近の隆起が鼻を表しているとみられる。奈良県の同時代の遺跡「纒向(まきむく)遺跡」から出土した木製仮面と目の仕上げ方などに共通点もあるという。端には直径7ミリほどの穴があり、何かにくくりつけるためのひもを通した可能性もあるという。

 昨年6月、大阪モノレール延伸事業に伴う発掘調査で、遺跡内の洪水堆積(たいせき)層の地下2・9メートル地点から見つかった。同じ場所で、農耕祭祀との関係をうかがわせる、水をためる槽の一部と火で炭化した鍬形(くわがた)木製品も見つかった。

 桜井市纒向学研究センター(奈良県)の寺沢薫所長は、着用するには重く、飾るなどして祭祀に用いた可能性が高いとみる。「大王の権威を示す、人の姿をした神『首長(しゅちょう)霊』を表しているのではないか。ヤマト王権の儀礼の影響を受けた有力者が祭りに使ったのだろう」と話す。

 仮面は、大阪府和泉市の弥生文化博物館(0725・46・2162、月曜休館)で、29日~5月7日に展示される。宮崎亮

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    今井邦彦
    (朝日新聞記者=歴史、考古学)
    2023年4月25日21時43分 投稿
    【視点】

    3世紀初めといえば、弥生時代から古墳時代への移行期。いわゆる「邪馬台国時代」と呼ばれる時期です。この時期に、奈良県桜井市に突然、大規模な集落・纒向遺跡が出現しました。中央には方向をそろえて立つ建物群があり、運河が縦横に設けられた纒向遺跡は、

    …続きを読む