かつては、高倉健の主演映画ロケ地 鉄道失った町長が打った異例の策

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三木一哉
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 JR北海道・留萌線(深川―留萌)の石狩沼田―留萌(35・7キロ)が3月、最後の運行を終えた。それに先立つこと6年余り前、同線の留萌―増毛間が廃止された。このとき、鉄道を失ったのが増毛町だ。「公共交通の再構築と維持に苦労を重ねてきた」という堀雅志町長(68)に、詳しい事情をたずねた。

 2016年12月に留萌―増毛間が廃止される際、町はJRとの交渉で、増毛駅と舎熊駅の駅舎や線路敷地の無償譲渡を受けた。これに加えて、並行して運行しているバス会社の便がない早朝・深夜の代替交通、町内のデマンドタクシー、増毛駅周辺整備の費用として1億8千万円の提供という支援策を引き出した。

 もともと、増毛町を訪れる観光客は、札幌方面から車で来る人が多い。このため、留萌線の利用客は少なく、廃止の影響は小さいとみられた。

 ところが、4年後に町はある危機を迎えることになる。

 町は路線の廃止後、早朝深夜の代替輸送と、日中のデマンドタクシーを留萌市の業者に委託した。だが、業者は19年度末、日中のデマンドタクシー事業について「採算が取れない」と撤退した。

 町内にも留萌市にも、代わりに引き受けてくれる業者はなかった。そこで、堀町長は異例の策に打って出た。

新鮮な魚介類に加え、最北の酒造も

 「町民のため、当番で運転し…

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