若者たたきに使われた「草食男子」 生みの親・深澤真紀さんの反省

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聞き手・田中聡子
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 17年前につくられた「草食男子」という言葉は、今も日常会話にしばしば登場します。新語・流行語大賞のトップ10入りもしたこの言葉を生み出した深澤真紀さんは、今日まで反省し続けていることがあると言います。話を聞きました。

     ◇

褒め言葉だったはずが・・

 「草食男子」という言葉の生みの親は私です。女性をもののように扱うのではなく、リスペクトし、対等な関係を結べる下の世代の男性たちに向けた褒め言葉でした。しかし、結果的には若者たたきに使われてしまった。そのことを、今も申し訳なく思っています。

 きっかけは、2006年のウェブメディアでの連載でした。その頃、高度経済成長やバブルの追い風で成功できた世代が、「若者はけしからん」と言い始めた。この世代の人たちは「俺たちに比べて、今の若者は」と言うけれど、下の世代の人たちは氷河期もあり、社会が守ってくれなかった。「何を言っちゃってるんだろう」と思って始めた若い世代の男性を分析する連載の中で、「草食男子」を書きました。軽い気持ちで、最初のうちは大して話題にもなりませんでした。

「敗戦処理」の日々

 ところがその翌年に「モテな…

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2023年4月19日9時30分 投稿
    【視点】

    とてもリアルで貴重なコメントだ。 性善説的な「解釈への期待」は基本的に裏切られるしかない、というイマドキの言論的現実がよくわかる話で、言霊師たるもの、自らが紡ぎ出すパワーワードが最低最悪の解釈でバズってなお耐えられるか? という点を考慮し続

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    田中俊之
    (大妻女子大学准教授 男性学研究者)
    2023年4月19日10時18分 投稿
    【視点】

    新しい言葉を作る難しさに対して真摯に向き合う深澤真紀さんを、本当に尊敬します。草食系男子は褒め言葉であり、深澤さんの元の文章を読めばそれが肯定的に、かつ、丁寧に書かれていることがよくわかります。男性学を研究する僕の立場からすれば、かつて「女

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