奈良美智さんや村上隆さんの作品を流用? 大阪府市のIRイメージ図

 カジノを含む統合型リゾート(IR)をめぐり、大阪府・市が提供するIRのイメージ図や動画に、世界的美術家の奈良美智さんや村上隆さんの作品と酷似したデザインが使用されていると14日、奈良さんがツイートで指摘した。奈良さんは「大きな犬の自作イメージが出てくるのだが、使用を許可したこともない、というか許可自体を求められたこともない」と投稿している。

 酷似しているのは、奈良さんが手がけた「あおもり犬」。哀愁を帯びた犬をかたどった高さ約8・5メートルの大型立体作品で、青森県立美術館(青森市)の屋外スペースに2005年に設置され、地元のシンボル的な存在としても親しまれている。奈良さんはIRのことを報じたNHKの記事を引用する形で投稿し、「代理店のプレゼンってこういうの多いのだが、こうきて公共の電波でイメージが出てくるって、どういうこと?」と続けた。

 別の動画には、村上さんの花をモチーフにした絵画とみられるデザインの一部も使用された。

 府市のIR推進局によると、イメージ図や動画は、IR事業者であるオリックスと米MGMリゾーツ・インターナショナル側から2021年7月以降に提供を受け、公表資料に掲載した。事業者には、著作権など第三者の権利を侵害しないよう求めており、事業者側からも「利用許諾の手続きはすんでいる」と説明を受けていたという。現在、事業者側に問題がないか改めて確認するよう指示している。

 オリックスと米MGMリゾーツ・インターナショナルによると、イメージ図は制作会社に発注したものといい、「作成の経緯など事実関係を確認中」としている。

 アートに詳しい木村剛大弁護士は、「作品が屋外に恒常的に設置されている場合は、一部例外を除き、著作権の自由利用が認められている。奈良さんについて、『あおもり犬』が屋外恒常設置規定に該当するかどうかがまずポイントになる」と言及。他方で「作品が美術館の設計を踏まえて設置されたものだとすると、関係のない場所に設置したイメージを作成することは作品改変となる。この場合、著作者人格権における同一性保持権との関係で問題になる可能性はある」と話す。一方、著作権に詳しい福井健策弁護士は「花が村上さんの作品だとしたら、著作物。業務目的で無断で複製したり、放送に提供したりする行為は著作権侵害にあたる」と指摘する…

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