難病「多系統萎縮症」に一定の効果 進行抑える世界初の薬開発に一歩

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田村建二
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 体を動かしにくくなったり自律神経に障害が出たりして、死亡につながることもある神経難病「多系統萎縮症」への治験に取り組んできた東京大などの研究チームが、「治療薬候補の有効性を確認できた」と発表した。この病気の進行を抑える世界初の薬につながる可能性があるという。

 14日、研究結果をまとめた論文が専門誌に掲載(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589537023000974別ウインドウで開きます)された。

 多系統萎縮症は、手足のこわばりやふらつき、自律神経症状の排尿・排便困難などが起きる病気。進行の早さには個人差もあるが、発症から5年ほどで半数が自立歩行が難しくなるとされている。呼吸機能に突然の重い障害が起きるなどして、亡くなってしまうケースも少なくない。

 平均で50代後半に発症し、国内にはおよそ1万2千人の患者がいる。中には、前途を悲観して海外での安楽死を望むケースもあることが知られている。

 この病気の患者の脳の細胞に「αシヌクレイン」というたんぱく質が異常な状態でたまっていることが明らかになっているが、発症の仕組みはよく分かっておらず、進行を抑える有効な薬はなかった。

 研究チームはこれまで、患者らのゲノム(全遺伝情報)解析などを通して、抗酸化作用をもつ補酵素「コエンザイムQ10」が脳や血液中で不足していることを報告してきた。

 そこで今回、この酵素を補う作用がある化学物質「ユビキノール」の効果を調べた。医師主導治験として全国13施設計139人の患者を対象に、ユビキノールを飲むグループと、有効成分を含まない偽薬(プラセボ)を飲むグループに分け、その後の症状を48週間追跡した。

 症状をスコア化して比べると…

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この記事を書いた人
田村建二
科学みらい部
専門・関心分野
医療、生命科学