東京電力福島第一原発事故を受けて原発の稼働を段階的に止めてきたドイツで15日、「脱原発」が完了する。原発のリスクを重く見るドイツは、再生可能エネルギーの拡大をはかる考えだ。一方、日本は対照的に原発の新規建設も視野に、活用を模索している。
「脱原発はドイツに安全をもたらす」
主要7カ国(G7)の閣僚会合で来日し、福島第一原発事故で被災した福島県浪江町を訪れたドイツのレムケ環境相は13日、脱原発をこう評した。
脱原発、揺れ動いたドイツの政権
レムケ氏は3月末の記者会見で、2011年の福島第一原発の事故や、ロシア軍の占領下にあるウクライナ中南部ザポリージャ原発をめぐる攻防に触れ、「原発のリスクは、ドイツのような高い技術を持った国でも究極的には制御できない」と指摘した。
ドイツでは、10年にメルケル政権(当時)が前任のシュレーダー政権の脱原発政策を見直し、原発の稼働期間の延長方針を決めた。しかし、その約半年後の福島第一原発の事故を受けて「脱原発」に転じ、稼働していた17基すべてを22年末までに止めることにした。
21年に発足したショルツ政権も脱原発の方針を継承。ショルツ首相は昨年10月、「原発をやめる理由がいくつかある。チェルノブイリ、福島、未解決の最終処分場の問題だ」と語った。
ドイツでは1960年代の原発の運転開始以来、廃炉を終えたのは3基で、今後、30基以上の廃炉作業を進める必要があるという。レムケ氏は、高レベル放射性廃棄物の処分地が決まっていないことを挙げ、「脱原発」の課題の多さも強調した。政府の委員会は16年の報告書で、廃炉や廃棄物の運搬・貯蔵などにかかる費用を488億ユーロ(約7兆円)と見込んでいる。
ドイツが進む道 待ち受けるのは…
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