豊臣秀吉の「黄金の茶室」再現、桃山文化味わう 制作費3600万円

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熊谷徹也
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 当時の人たちは、この空間で何を感じたのだろう。約440年前、天下人豊臣秀吉が作らせた「黄金の茶室」が、佐賀県唐津市の県立名護屋城博物館に昨年復元された。有料のプログラムでは、3畳の茶室に入って、金と赤の2色に包まれながら抹茶をいただける。絢爛(けんらん)豪華な桃山文化を追体験できる場所だ。

 「黄金の茶室」は史料などをもとに復元された。

 博物館によると、天正14(1586)年に京都御所であった茶会で初めて使われた。関白就任の返礼の催しで、秀吉自らが茶をたてて天皇に献じたという。組み立て式で、朝鮮出兵の拠点として唐津に築かれた名護屋城にも持ち込まれ、大名との茶会や外国使節らの歓待などに4回使われた記録があるという。

 派手好きというだけでなく、政治や外交の場で、自らの権威を高めるために使ったとみられる。その後、秀吉が大坂に戻るのにあわせて運ばれ、大坂夏の陣大坂城とともに焼失したのではと言われている。

 約半年をかけて、昨年3月に復元された茶室の制作費は約3600万円。金箔(きんぱく)が約1万6500枚使われ、障子(絹織物)と畳表(毛織物)は鮮やかな赤色だ。

 障子を閉めて照明を落とすと、金と赤の「にぶい光」に包まれるという。博物館の学芸員、久野哲矢さんは「当時の人たちの光や影、色彩への感覚は、今よりも鋭敏だったのではと感じる」と話す。「この空間で過ごしたのは、秀吉や天皇、外国使節、大名など限られた人たち。それを追体験できる場所です」

 博物館には、「黄金の茶室」…

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この記事を書いた人
熊谷徹也
高松総局長
専門・関心分野
心理学、地方自治