医薬・化粧品でウサギの実験やめよう 島津製作所などが代替の新手法

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桜井林太郎

 医薬品やワクチン、化粧品の製造の際に必要だったウサギを使った動物実験をなくしていきます――。島津製作所は10日、そんな方針を発表した。ヒトの細胞を使った新しい手法を広げていくという。

 再生医療分野のスタートアップのマイキャン・テクノロジーズ(本社・京都市)が開発した特殊な細胞を使い、動物実験をせずに製品に汚染がないかを調べる新しい試験キットを製品化する。動物愛護活動が熱心な欧州でまず販売を始め、将来的には世界の市場シェアの2割の獲得をめざす。

 医薬品やワクチン、化粧品などを出荷する前には、製品の一部を細菌の成分などで汚染されていないか確認する「発熱性物質試験」をする必要があり、現在はウサギを使った動物実験が主流となっている。

 だが、ESG(環境・社会・企業統治を考慮した事業活動)や動物愛護への意識が広がる欧州は、2025年末でウサギによる試験を中止し、ヒトの細胞を使い免疫反応をみて汚染の有無を評価する試験法に代替させる。

 日本でも新たな試験法が25年ごろに認可され、置き換えが進むと見込んでいる。ウサギの代わりにカブトガニを使う簡易的な検査もあるが、数が減っており、こちらも新しい試験法に代替されていくとみられるという。

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 製品化に向けては、完全子会…

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この記事を書いた人
桜井林太郎
くらし科学医療部
専門・関心分野
環境・エネルギー、先端技術、医療、科学技術政策
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    太田匡彦
    (朝日新聞記者=ペット、動物)
    2023年4月11日10時32分 投稿
    【解説】

    化粧品を巡っては資生堂が2013年4月以降、化粧品・医薬部外品の開発にあたって動物実験を廃止するなど、動物実験廃止の動きは徐々にですが広がっていました。今回は医薬品やワクチンの開発についても、ウサギを使った動物実験を廃止しようという試みのよ

    …続きを読む