技能実習の廃止案、残る両論 「移民国家に警戒」「欠かせぬ労働力」
30年続く外国人技能実習制度を廃止し、新たな制度を創設するという方向性が示された。「国際貢献」の看板を下ろし、日本の労働力としての実態を追認するが、「廃止」といえるような内容に改まるのか。単なる「看板の付け替え」ではなく、人権侵害を是正する実効性が問われている。
「多くの委員から賛同いただけた」「(技能実習制度とは)全く別物になるんだと私は思っている」
有識者会議の座長を務める田中明彦・国際協力機構(JICA)理事長は10日、政府が示した新制度案をそう評価した。
「長年の課題を歴史的決着に導きたい」。技能実習制度の見直しは、昨年夏の古川禎久法相(当時)の号令で始まった。これを受けて設置された有識者会議では、議論が百出した。
「『人材育成』を通じた国際貢献という本来の目的を適切に果たした事例も多く、効果的な制度だ」。母国に技能移転する「実習目的の労働者」という現行制度を、一定は見直しつつも存続させる意見も出た。
しかし、少子高齢化が深刻化する日本で、「未熟練労働者」とされる技能実習生が欠かせない労働力になっている実態に即した抜本的見直しは不可避だった。
法務省幹部は「国際貢献を目的に残すのはもう無理。小細工をしても、またすぐにほころびが出る」と語り、「廃止」の打ち出しにこだわった。
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問題は「廃止」の程度だった。
「特定技能制度に吸収し、労…
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