ユッケ食中毒、「焼肉酒家えびす」の運営会社が破産 被害賠償半ば
2011年に富山、福井の両県で計5人が死亡した焼き肉チェーン「焼肉酒家(ざかや)えびす」の食中毒事件で、運営会社の「フーズ・フォーラス」(東京)が3月28日付で、金沢地裁から破産手続きの開始決定を受けた。約10年かけて被害者への賠償を優先するため資産を分配する特別清算の手続きを進めていたが、債権者の同意を得られなかった。
事件では富山、石川、福井、神奈川4県の6店舗でユッケなどを食べた181人が食中毒を発症。富山県で4人、福井県で1人が亡くなった。事件の影響で生食用牛肉の提供・販売基準が厳格化され、生レバーの提供・販売が禁止された。
帝国データバンク、東京商工リサーチの金沢支店によると、1997年に富山県高岡市で創業。11年3月期に20店舗の売り上げは20億円を突破したが、食中毒事件で営業を停止した。負債総額は約17億7800万円となり、12年2月に金沢地裁へ特別清算を申請し、開始を命じられた。
一方、資産は店舗の売却代金や保険金などを含めても約1億3400万円。被害者への支払いを優先するため、約300人の債権者から債権放棄などの同意を得る必要があったが、実現しなかった。債権者向けに7月、財産状況の報告集会を開くという。
富山県警や警視庁などの合同捜査本部は16年、元社長ら2人を業務上過失致死傷容疑で書類送検したが、富山地検は不起訴処分(嫌疑不十分)とした。
遺族らが14年、同社や元社長と元店長に損害賠償を求めて提訴。東京地裁は18年、同社のみに約1億7千万円の賠償を命じる判決を言い渡した。原告の一部は判決を不服として東京高裁に控訴したが、棄却された…
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