第3回「負け犬の遠吠え」から20年 少子化対策に酒井順子さんが思うこと

 どんなに美人で仕事ができても、30代以上・未婚・子ナシは「女の負け犬」――。2003年、エッセイストの酒井順子さんが、自虐を交えて「負け犬」と自称した著書「負け犬の遠吠え(とおぼえ)」(講談社)の出版から20年が経ちました。

 政府が「異次元の少子化対策」を打ち出す今、肩身の狭さを感じる「負け犬」も少なくありません。子どもがいない生き方について書き続けてきた酒井さんは何を思うのか。就職氷河期世代の「負け犬」である記者が聞きました。

 ――少子化が「国難」とされ、政府が「異次元の少子化対策」を進める中で、私も含めて子どもがいない人間の中には、どこか居心地の悪さを感じている人がいます。

 私は「子どもがいる人ばかりを優遇するのは、不公平」とは思っていません。やはり、子どもを育てる人たちを社会全体で大切にしたいとは思います。

 日本の人口が減り、国力が低下していく中で、出生率は上がった方がいいですし、少子化対策や子育て支援に力を入れるべきだと思っています。

 ただ、日本の未来を真剣に考えた上でのそういった「正論」の中に、ある種の暴力性があるのではないか、と思います。

 「あるべき家族の形」が固定化され、圧力が強い日本。「少子化対策」で問われているものは何か、酒井さんに聞いていきます。

産まない人が下を向く

 「産む産まないは個人の自由…

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