二つの景気指数に異なる動き 後退局面近い?そこまで悪化してない?

北川慧一
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 政府が公表する二つの景気指数の違いが大きくなっている。かたや、景気の後退局面に入るのは近いとの見方もあるが、もう一方は、そこまでの悪化は見られない。なぜそんなことが起きるのだろうか。

 内閣府が3月27日に公表した1月の景気動向指数(2015年=100)の改定値は、景気の現状を示す値が前月より3・0ポイント低い96・4だった。下落は2カ月ぶり。パソコンやスマートフォン向けの半導体需要が落ち込んだ影響で、生産や輸出が低迷した。直近のピークだった昨年8月の101・0と比べると4・6ポイント低くなった。

 景気の基調判断は昨年12月、1年3カ月ぶりに「改善」から「足踏み」に引き下げた。3~4月には景気がすでに後退局面に入った可能性が高いことを示す水準まで判断を引き下げるとみるエコノミストもいる。

 一方、同じ内閣府が公表する「景気を把握する新しい指数」は、1月の指数が前月より1・2ポイント低い101・2で、ピークだった昨年8月からの低下幅は2・5ポイントにとどまる。製造業中心の景気動向指数と比べて、新しい指数はサービス業の活動や働く人の所得なども盛り込まれている。

 内閣府は、より景気の動きを的確に把握するためだとして昨夏から新しい指数の公表を始めたが、あくまで「参考」との位置づけで基調判断も示していない。特徴としては、現行の景気動向指数より変化が少ない。

 政府は今後も景気動向指数にもとづき基調判断を続ける予定だが、二つの景気指標の違いが広がれば、混乱を招く可能性もある。

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この記事を書いた人
北川慧一
経済部|労働キャップ
専門・関心分野
労働政策、労働組合、マクロ経済