国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が20日に第6次統合報告書を公表した。報告書から何を読み取ればよいのか、識者に聞いた。
メッセージは明確だ。温暖化による破滅的な影響を避けるため、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える目標の達成は、さらに難しくなっている。だが、達成のために必要な知識や手段、資金を、人類はすでに手にしている。私たちがいま、何を選択し、どう行動するかによって、数千年先の世界を決める。
報告書には、行動を促すための仕掛けが見える。世界が目指している1・5度目標のために、35年に温室効果ガスの排出を19年比で60%減らす必要があることを示した。日本を含む多くの国は30年の削減目標と50年の実質ゼロを掲げているが、それをつなぐ経路は描かれていない。今後の国際交渉では、35年の目標が焦点の一つになる。60%は一つの基準になる。
また目標達成に向けた具体的な政策や手段などを描けていない国も多い。報告書は、政府が責任を持って関与することや制度的な仕組み、法律、戦略、資金や技術へのアクセスの重要性も指摘している。
温暖化対策を加速する重要な要因として、資金、技術、国際協力を挙げる。目標達成のために、いまの何倍も資金を投入しなければならないと指摘する。
記事の後半では京都大大学院の諸富徹教授、米ローレンス・バークリー国立研究所の白石賢司研究員、森林総合研究所の森田香菜子主任研究員に、報告書の評価や日本のとるべき政策について聞いています。
諸富徹・京都大大学院教授
統合報告書の示す現状認識は厳しい。このままではまずいという危機感が伝わる。絶望的な感覚に襲われるが、人間の意思で状況は変えられる。手段は手元にあり、あとは実行するだけというポジティブなメッセージが印象的だ。
それを踏まえると、欧州連合…
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- 石井徹
- 編集委員
- 専門・関心分野
- 環境、エネルギー
- 市野塊
- 科学みらい部兼国際報道部|環境省担当
- 専門・関心分野
- 気候変動・環境、医療、テクノロジー
- 【視点】
3名の方々の解説がわかりやすく、素晴らしい記事。多くの人に読んで頂きたい。24時間無料で読める配慮も嬉しい。 第6次統合報告書の要約を読んだ時は背筋が凍りつくような感覚を覚えましたが、「知識、手段、資金、すでにある」と考えられる、伝えられ
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