ミヤシタパークのアート作品、全く違う姿に 著作権侵害と作者が抗議

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西田理人

 東京・渋谷の複合商業施設「MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)」内にあった現代アート作品が、作者の知らぬ間に施設運営者らによって別の姿に改変され、その後撤去された。法律の専門家は、著作権侵害に当たる恐れがあると指摘。作家側は、作品の返還と「アートに対する最低限の理解」を求めている。

 紅白を基調としていたはずの「猫」のオブジェが、黒い落書き風のラッピングを施されて全く異なる姿に――。アーティストの吉田朗さん(46)らが今年2月にウェブ上で公開した比較画像を見ると、作品が本来の外観とまるで異なる姿になってしまったことが一目で分かる。ラッピングは作品本体と台座部分の全体に及び、タイトルと作者名を記した銘板も覆い隠されていたという。

 吉田さんの作品「渋谷猫張り子」は、ミヤシタパーク内のホテル最上階、レストラン&バー「SOAK」のテラス部分に2020年に設置された。ガラス繊維強化プラスチックにウレタン塗装を施した高さ1・3メートルの立体作品で、SOAKの開業に合わせて当時の運営会社の依頼で制作。作家自身の説明によると、「日本の伝統的なモチーフである招き猫に現代的なフォルムを組み合わせ、ハチ公像と対になるような新たな渋谷のシンボルを目指した」という。

渋谷の新たなシンボルとなることを目指して制作されたはずのアート作品が、なぜ作者に無断で改変されてしまったのか。記事後半では、ラッピングを施した企業側のコメントや、法律の専門家の見解も紹介します。

SNS上で異変を察知

 無断改変が発覚したのは今か…

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    田中知之
    (音楽プロデューサー・選曲家)
    2023年3月31日20時3分 投稿
    【視点】

    これは作家にとっては酷な話だし、言語道断だろう。今では有名なバンクシーさえ、認識していなければただの落書き。過去消された例も多い。ただ、バンクシーはゲリラ的な落書きに他ならず、今回はちゃんとした依頼の下、契約書も存在するわけで。新しい借主が

    …続きを読む