オンラインで国会出席、オバマ氏も議員に? 型破りだった憲法草案
オバマ元米大統領が日本の国会議員になることもできる――。そんな常識破りの国会像を提案する憲法草案が、今から11年前に発表されていた。批評家の東浩紀さんら5人が作成した「新日本国憲法ゲンロン草案」だ。オンラインによる国会出席に道を開く草案でもあった。何を目指していたのか、そして今どう思っているのか。現役官僚として起草に参加し、国会構想づくりに深く関与した評論家の境真良さんに聞いた。
「住民院」と「国民院」へ 11年前に提案
――ゲンロン草案は、境さんや東さん、社会学者の西田亮介さんら5人が共同で作り上げたものでした。当時は霞が関の官僚だったのですよね?
「はい。経済産業省の国際戦略情報分析官でした。東さんから誘われたときは『なぜ私が?』とも思ったのですが、それ以前から統治機構の改革に興味を持っていたこともあって、参加しました」
――作成当時、どういう時代状況だったのですか。
「1990年代は省庁で国家論が盛んに議論された時代であり、私も参加していました。2001年には中央省庁の大がかりな再編も行われています。当時、メディアの議論では憲法というと9条問題が中心でしたが、私は統治の仕組みをどう変えるかに関心がありました。『80年代までの日本』を再強化しても仕方がない。そんな時代観が共有されていたように思います」
「日本社会が閉鎖的になりつつあったことも気になっていて、開かれた国に変えていく工夫が必要だと考えていました。『ウェブ2.0』の時代でもあり、コンピューターを理解できない政治家たちに国政を任せている場合じゃないとの気分もありました」
――ゲンロン草案は、国会の大胆な変革を提案するものでしたね。衆議院と参議院からなる今の国会の仕組みを、「住民院」と「国民院」からなる新たな二院制に作り替えよう、という提案でした。
「ええ。国会改革について討議していた私たちメンバーの間には、次のような問題意識がありました。参院が衆院のコピーのようになってしまっていて、存在意義が分からなくなっている。とはいえ一院制にしてしまうと、重要事項をチェックしたり再考したりするチャンスがなくなってしまう。何とか二院制をうまく機能させる方法はないだろうか……というものです。二院制をやめるのではなく、二院の相互関係を見直そうと私たちは決めました」
日本国籍ない人にも国政関与の道
――住民院と国民院の二院を、それぞれどういうものとして構想したのですか。
「今の衆院の地位を引き継ぐ…
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