動物を虐待したとする動物愛護法違反で全国の警察が昨年(2022年)1年間に摘発した事件は166件あり、187人が逮捕・書類送検されたことが警察庁のまとめでわかった。統計を取り始めた10年以降では、21年の170件、199人に次ぎ、件数・人数とも2番目に多かった。警察庁が23日、発表した。

 虐待された動物は猫(91件)と犬(53件)で9割近くを占める。ウサギ、馬、ハムスターなどへの虐待もあった。内容別では、生きたまま捨てる「遺棄」が74件と最多で、えさを与えなかったり劣悪な環境で飼ったりする「虐待」が49件、「殺傷」が43件と続いた。

 逮捕者は20人。容疑の概要は、空き地などにミニチュアダックスフント27匹を置き去りにした▽内縁の妻の飼い犬の腹を包丁で切りつけた▽犬18頭を不衛生な環境で飼育した――など。

 摘発件数が多くなっている背景について、警察庁は「動物への保護意識が高まり、寄せられる通報が増えたためではないか」とみる。昨年摘発した166件のうち、第三者の市民や愛護団体からの通報で警察が認知したのは計109件。前年より4件多く、全体の6割以上を占めた。(吉沢英将)