初代駅舎の遺構か 重文の旧大社駅の地中から発見 島根県出雲市

堀田浩一
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 保存修理工事が進められている国の重要文化財「旧大社駅」(島根県出雲市大社町)の地中から、初代駅舎の基礎部分とみられる遺構が見つかった。出雲市が発表した。

 現存する駅舎は2代目で、初代駅舎については数枚の古写真と古図面(略図)があるのみで、詳細が分かっていなかった。担当者は「当時の駅舎の位置や規模を知る重要な歴史資料になる」と話す。21日に現地見学会を開く。

 市文化財課によると、初代駅舎は国鉄山陰線の支線・大社線の終着駅として1912(明治45)年に開業。その後、出雲大社への参拝客が増え、手狭となったため、24(大正13)年に2代目の駅舎に建て替えられた。

 今回見つかった遺構は、5・4メートル四方にわたって敷設された厚さ25センチほどのコンクリートの構造物。2代目駅舎の耐震補強工事のため、事務室の土間コンクリートを撤去したところ、その下から、間仕切りしたような配置で見つかった。

 土台を据え付ける際に使われたとみられる「来待石(きまちいし)」や漆喰(しっくい)片の混じった土も発見された。当時、コンクリート基礎を用いた建物は限られていることから、「初代駅舎の基礎」と推定されるという。

 市は見つかった遺構の一部を旧大社駅の敷地内に移設して保存する方向で、文化庁と県と協議している。

 現地見学会は午前10時から午後3時。事前申し込み不要。問い合わせは同課(0853・21・6893)へ。(堀田浩一)

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