ブラジル観光のビザ必要に、日本人へ免除取りやめ「相互主義の原則」

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サンパウロ=軽部理人

 ブラジル政府が、観光目的などでブラジルを訪れる日本人に対して、査証(ビザ)を免除する措置を取りやめると発表した。ブラジル人が日本に入国する際はビザを取得する必要があるため、「相互主義の原則」に基づいた決定だという。日本はブラジルの対応を「残念だ」とする一方で、ブラジルは以前から自国民へのビザ免除を求めており、応じなかった日本の対応を疑問視する声もある。

 ブラジル政府の13日の発表によると、日本、米国、カナダ、豪州の国民はブラジルに入国する際、原則としてビザを取得する必要がある。施行日は10月1日で、電子ビザの形態がとられるという。従来は、90日以内の観光や短期出張などであれば、ビザが不要だった。

相互主義が復活

 ブラジルは伝統的に、他国がブラジルに求める義務や負担について、同様の義務や負担をその国に対しても求める「相互主義の原則」を重視している。特に入国管理行政では、ブラジル国民にビザを求める国に対しては、その国の国民がブラジルに入る際にビザを求めてきた。13日の発表では「ブラジルは、相互主義なしに他国への訪問ビザの一方的な免除を認めていない」と言及した。

 だが、ボルソナーロ前大統領は2019年3月、日本、米国、カナダ、豪州の国民がブラジルを訪れる際のビザ取得を免除し、同様の対応を4カ国に求めないとする大統領令を出した。観光客を増やす狙いとともに、ボルソナーロ氏が訪米する直前の決定だったことから、トランプ前米大統領への配慮があったとみられている。

 ブラジル外交の強化を掲げる…

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この記事を書いた人
軽部理人
国際報道部記者|内勤・業務担当
専門・関心分野
中南米の全分野、米国政治や外交、社会