袴田さん再審、台湾の研究者「長さに驚き」 日本の再審法の問題点は

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聞き手・新屋絵理
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 静岡県で1966年に起きた強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)について、東京高裁が13日、再審開始を認める決定を出しました。静岡地裁の再審開始決定からもうすぐ9年。日本に似た刑事訴訟制度の台湾ではこの間、再審法の改正を重ね、冤罪(えんざい)を救済する仕組みを整えてきました。戦後の施行から70年以上にわたり一度も改正されていない日本の再審に関する法制度は、台湾からはどう見えるのでしょうか。台湾と日本で冤罪を救済するための活動を続ける台湾イノセンスプロジェクト学術部委員の李怡修(リー・イシュウ)さんに聞きました。

 ――この事件をどう見ていますか。

 結論が出るまでの長さに驚いています。静岡地裁の再審開始決定が出て袴田さんが釈放されたのは2014年でしたね。この年、台湾で死刑判決が出されたあと再審無罪が確定した蘇建和(スーチエンホー)さんが、人権団体の招きで来日して都内の大学で講演をしました。私も通訳としてその場にいました。その日偶然、袴田さんも日本弁護士連合会の会合で同じ場所を訪れていたのです。2人が握手をしたのを今でも覚えています。

 それから今日まで、台湾では再審法が何度も改正されてきました。一方、袴田さんは再審になるかどうかすら決まっていない。人の命を何だと思っているのかと、怒りを覚えます。

 ――李さんの活動について教えて下さい。

 冤罪事件の検証を通じて公正な司法を実現するための研究を、台湾と日本でしています。1990年代にアメリカで始まり、世界各地に広がっている「イノセンス・プロジェクト」です。以前は都内の大学で特任講師もしていました。日本の再審制度と証拠開示のあり方が研究テーマです。

台湾では検察官が再審請求した例も

 ――この事件では再審請求の過程で、判決と矛盾するような新証拠が検察側から開示されています。

 最初からすべての証拠を見て…

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