福島・富岡町の夜の森地区など 4月1日に避難指示解除へ

西堀岳路
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 福島県富岡町の帰還困難区域で「特定復興再生拠点」に指定されていた夜の森地区などの避難指示が、4月1日午前9時に解除されることになった。10日、国と県、町の3者協議で方針が決まった。近く政府の原子力災害対策本部で決定する。復興拠点内では昨年4月から準備宿泊が始まったが、登録者数は26世帯の計54人にとどまる。

 協議後の記者会見で山本育男町長は、「(夜の森地区は)全町避難の際にも町民の心のよりどころとなった桜並木があり、自然豊かで住環境も良い。帰還や定住がしやすくなるよう生活基盤を整えたい」と語った。解除されるのは町全体の5・7%にあたる約390ヘクタールだが、震災前は町内最大の住宅地だった夜の森地区があるため、人口は約22%の2580人が住民登録している。

 今回の復興拠点の解除で、町内の帰還困難区域は小良ケ浜・深谷地区(約460ヘクタール)だけとなる。今後、同地区が新たに「特定帰還居住区域」に指定されれば、避難指示解除に向けて全面的な除染が進められることになる。

 山本町長は「(そうした区域の)取り組みも進めてもらい、全町で住民のすこやかな暮らしとにぎわいを取り戻したい」と話した。現地対策本部長の太田房江・経済産業副大臣も「できるだけすみやかに除染して希望者が1日でも早く、一人でも多く帰還できるよう全力をつくす」と語った。

 17年に町中心部で避難指示が解除されたが、住民らには「事後除染が十分ではない」といった不満もある。今回の夜の森地区などについても、地上1メートルで平均0・53マイクロシーベルトまで除染されたが、部分的にまだ線量が高い箇所もある。(西堀岳路)

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