【そもそも解説】マスク着用「個人判断」 研究論文が示す効果と限界

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野口憲太
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 3月13日から、医療機関などを除き、屋内も含めてマスク着用についての推奨が撤廃されます。マスクを着ける場面と外す場面を、一人ひとりが自ら判断することが基本となります。感染対策としてのマスクの効果について、いま分かっていることをまとめました。

症状なくても感染拡大

 Q なぜマスクが必要なの?

 A 新型コロナは、ウイルスを含む感染者の唾液(だえき)などを介して、人から人へとうつる。

 感染者がくしゃみやせきをすると、飛沫(ひまつ)や、さらに小さくて空気中をただようエアロゾルなどの感染性の粒子が周囲に広がる。こういった粒子の拡散を、マスクによって防ぐことが期待されている。

 自分が感染者だった場合に、自分から他人に感染させないようにするだけでなく、自分が感染しないようにする効果がある、とされている。

 Q 症状が出ていない人までマスク着用が推奨されていたのはなぜ?

 A 新型コロナの感染者は、症状があらわれる2日前の段階から、感染性の粒子を出しているとされる。また、無症状の人もいる。そのため、だれが感染者なのかがわかりにくい。

 新型コロナは新しい感染症で、当初は、ワクチンもなく、免疫を持っている人もいなかった。社会全体で感染リスクを低くするために、各国は症状がない人も含めてマスク着用を推奨していた。このような施策は「ユニバーサル・マスキング」とも呼ばれている。

 Q マスクで本当にウイルスは防げるの?

 A 完璧にではないけれど、感染性の粒子を防げることを確かめた実験がある。

 東京大医科学研究所などのチームの2020年の論文〈1〉では、2体のマネキンを50センチ離して向かい合わせに置き、一方から本物の新型コロナウイルスを含む粒子を放出できるようにした実験装置で、マスクの効果を調べている。

 ウイルス粒子を出す側のマネキンだけに不織布マスクを着けると、もう一方で検出されるウイルスの遺伝子は約60%減った。出す方はマスクを着けず、受ける方が不織布マスクを着けると50%減、両方がマスクを着けると、約75%減だった。

マスク効果をめぐる、さまざまな報告

 Q 実際に発症するかどうか…

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