演説に重ねて大音量、「選挙妨害」の批判 規制強化求める声に懸念も

有料記事東京の政治

【動画】演説をする他陣営にかぶせて大音量で話す関係者
[PR]

 4月28日投開票の衆院東京15区補選で、特定候補が、他候補の街頭演説中にマイクを使って大音量で話したり、選挙カーを追いかけたりする行為を続け、「選挙妨害だ」と批判された。今回のような行為が続くことは許されないとして、規制強化に向けた動きがある。ただ、法が保障する「選挙の自由」が狭まる事態を懸念する声もある。

 批判されたのは、根本良輔氏(29)を立候補させた政治団体「つばさの党」(黒川敦彦代表)。告示日だった4月16日、駅前で演説する無所属候補の選挙カーのすぐ横に自分たちの車をとめ、無所属候補や応援弁士らの前で、演説に重ねてマイクで「説明しろよ」などと話し続けた。1時間近く続いた。

日程非公表、事務所施錠 各陣営が対応

 同じような行為は、立憲民主党日本維新の会、諸派の候補らの街頭演説会場でも見られた。各陣営によると、つばさの党は、走行中の選挙カーの後ろに自分たちの車を走らせてマイクで発言を続けたり、他の選挙事務所の前で太鼓を鳴らしたりした。こうした行為を「凸」「カーチェイス」などと称し、撮影動画をSNSで配信もした。トラブル回避のため、街頭演説を控えたり日程を非公表としたりする陣営が続出し、日中に選挙事務所を施錠する陣営もあった。

 つばさの党側は選挙中の4月23日、取材に「選挙妨害ではない。立候補した者の言説はどの陣営であれ等しい」(黒川代表)、「(各陣営に)質問に行っている」(根本氏)などと主張した。根本氏は最下位の1110票で落選した。

小池百合子氏も批判「経験な…

この記事は有料記事です。残り1288文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    綿野恵太
    (文筆家)
    2024年5月2日10時23分 投稿
    【視点】

     最近、法の穴をついたり、制度を悪用する「ハック」を肯定的・好意的に捉える風潮が目につきます。「違法でなければ何をやってもいい」とばかりに「慣習」や「暗黙のルール」の裏をかいて利益を得ようとする。もちろん、ビジネスの分野では新しいイノベーシ

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    曽我部真裕
    (京都大学大学院法学研究科教授)
    2024年5月2日21時6分 投稿
    【視点】

     水野智幸先生の「『選挙の自由』という原則がある中で『公権力が摘発に慎重になることは理解できる』とする。…妨害行為の横行を許さないため、『そうした行為をする候補には断固投票しないなどの行動で、有権者が判断することが重要ではないか』と話す」と

    …続きを読む