石垣復旧に携わる職人来たれ 熊本市が熊本城で人材育成研修

杉浦奈実
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 熊本地震で大きな被害を受けた熊本城の石垣復旧について知り、現場に携わるきっかけにしてほしいと、熊本市が3日、土木や造園関係の技術者・技能者を対象にした人材育成の研修会を開いた。県内を中心に約45人が参加した。

 研修では、熊本城の石垣復旧に携わる市職員が、石垣の基本的な構造や、時代ごとの石垣のつくりの特徴などを説明。熊本地震では、表面にある大きな石の内側に詰まった「栗石(ぐりいし)」という小ぶりの石の層が揺れによって動くことで、「横から見ると『くの字』に折れるように崩れた」(担当者)と解説した。

 石垣の解体や記録、復旧に向けた設計など、熊本城で進む工事の流れについても説明があった。実際に石を積む職人のほかにも、石材の回収や測量など幅広い人材が必要になる。熊本城総合事務所の岩佐康弘副所長は「復旧工事は今から30年ほどと長くかかり、今いる人だけではできない。まず、何をやっているかを若い人も含め知ってもらい、(復旧に携わる人材の)裾野が広がったら」と話した。

 地震の際、建物を支える石垣の隅の一列が辛うじて残り「奇跡の一本石垣」と呼ばれた飯田丸五階櫓(やぐら)の復旧現場の見学もあり、参加者は質問をしながら見入っていた。

 熊本市東区の伊勢造園建設から参加した坂井志丞さん(34)は、耐震性を上げるため栗石の間にシートを敷く新工法などについて、「見るのは初めてで、勉強になった。熊本城の石垣を自分の手で直してみたいという気持ちがさらに湧いてきました」と話した。(杉浦奈実)

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