あなたの手、社会を知る「窓」だった 不明の友人待ち続けた12年

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奈良美里
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 目はほとんど見えず、耳も聞こえない。岩手県大槌町で暮らす盲ろう者の八幡美知子さん(71)は、通訳をしてくれる介助員の手を通じて、周囲の出来事を知る。だが、そんな「社会の窓」を12年前に失ってから、この町がどう姿を変えたのか、想像できないでいる。

 八幡さんは、3歳の時に風邪をこじらせて聴力を失い、60歳になる前には網膜色素変性症でほとんど目が見えなくなった。そのため、相手の手話を両手で触りながら読み取る「触手話」と、手に書かれた字を判読する「手のひら書き」でコミュニケーションを取る。

 そんな八幡さんが外出する時、いつも付き添ってくれたのが、同じ町に住み、世代の近い岡田幸子さんだった。手話サークルの設立準備を通じて1997年ごろに知り合い「時々家に来て、仲良く話をする」間柄になった。

 2011年1月に同県花巻市

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