語学習得「文法より大事なのは…」20カ国語を操る言語学者の勉強法

有料記事語学の扉

聞き手・真田嶺
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 英語、日本語、ロシア語にスペイン語……。カナダ人の言語学者スティーブ・カウフマンさん(77)は、20の言葉を操ることができると言います。しかも、「60歳になってから学んだものも多い」とか。「誰でも語学は習得できるから、諦めないで」と日本語で自信たっぷりに話します。このインタビューもすべて日本語で行い、約1時間にわたりました。多くの言語を話せる立場だからこそ見えた語学の習得法はあるのでしょうか。話題の対話型AI「ChatGPTチャットGPT)」が、語学の学習に生かせるのかどうかも聞きました。

Steve Kaufmann 1945年生まれ、カナダ在住。日本語を含む20カ国語を操るポリグロット(多言語使用者)として知られる。在日カナダ大使館でも勤務した。言語学習アプリ「LingQ」を開発するなど、語学学習に関する発信を多言語で精力的に行っている。

 ――現在、何カ国語を扱うことができるのですか?

 「20カ国語はある程度、扱えます。そのうち12カ国語は、もちろん知らない単語もありますが、すぐに会話ができます。あとの8言語は、その国を訪れた時には使えましたが、今すぐどんな会話でも、どんな場面でも使えるという状態ではありません」

 「これだけたくさんの言語を学んでいると、その言語を使っていなければ、語学力はもちろんだんだんと落ちます。ただ、いったん学んだ言葉であれば、勉強を再開すれば割と早く戻ります。すべての言語を維持しなければ、という気持ちでなくても大丈夫です」

 ――維持するために自分を追い込まなくてもいいんですね。

 「私は言葉の勉強が好きで、楽しみなんです。1日に30分でも1時間でも聞いたり読んだり、何かしらしています。特に、聞くというのが割とやりやすいですよね。家事などほかの何かをやりながらでも、簡単にできます。語学の学習は新しい言葉を発見するというか、その言葉と知り合いになることで、別に完璧にできなくても楽しいものなんです」

文法に執着せず、楽な形で言葉を吸収

 ――そもそも、母国語以外を学ぼうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 「高校のときにフランス語の…

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    井本直歩子
    (元競泳五輪代表・途上国教育専門家)
    2023年3月11日11時56分 投稿
    【視点】

    目下5カ国語目を習得中の語学が大好きな私。一語一句頷きながら読みました。私は幸いにも、新しい言語を習う時はその言葉が話されている国に住んでいる時。必要で、日常で使うから、習得のスピードが違います。しかし学ぶ際の動機はカウフマンさんと一緒です

    …続きを読む