ローマ時代の城「建造物の7割被害」 トルコの被災地、観光にも影
今月6日に起きたトルコ・シリア大地震では、両国の歴史的建造物も被害を受けた。ローマ帝国時代に建てられたトルコ南部のガジアンテップ城は塔や城壁が大きな被害を受け、観光客の受け入れを中断した。住民からは、観光業への影響を心配する声も出ている。
「城内の建造物の70%が被害を受けた。修復するのは簡単ではない」。ガジアンテップ市が城内で運営する博物館の職員、イゼット・ドーデレンさん(36)は厳しい表情を見せた。
城は市中心部の小高い丘に築かれ、周りを1周した時の長さは1200メートル。ローマ帝国時代の2~3世紀に監視塔が造られ、6世紀に東ローマ帝国のユスティニアヌス帝が拡張工事を行い、今の姿になった。1918~23年のトルコ独立戦争では防衛拠点の役割を果たし、住民にとっては精神的なシンボルでもある。
ドーデレンさんらによると、地震では城内に12ある塔のうち二つが崩壊し、残りの塔も全てが損傷した。城壁や建物の壁もあちこちで崩れている。今も続く余震が収まってからでなければ修復には取りかかれず、修復作業には1年ほどかかる見通しだという。
ガジアンテップ城は年間50万人が訪れる観光名所だったが、地震後は閉鎖が続く。城の前の店で、木製品に真珠の貝殻をはめ込んだ螺鈿(らでん)細工を作って売っているアダム・ブイークさん(41)は「地震後、観光客がほとんど来なくなった」とため息をついた。
「観光客来なくなった」
ブイークさんによると、螺鈿…