なでしこが国内で見られない事情 広がる海外との「格差」、W杯は…

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照屋健
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 「NHKは来ていないのか?」

 「なぜ、放映しないんだ? 今年はワールドカップ(W杯)があるのに……」

 米国で開催中の女子サッカーの国際親善大会「シービリーブスカップ」の会場で、海外メディアが声を上げて驚いた。

 7月にW杯を控える日本代表(なでしこジャパン)が出場しているが、日本では中継がなく、リアルタイムで見られない。

 ともに米国でプレーする元日本代表の永里優季川澄奈穂美もSNSで疑問を呈した。

 なぜ、なでしこジャパンを国内で見られないのか。

 日本サッカー協会(JFA)関係者によると、JFAは今回、大会直前までNHK、民放各局、BSやCSも含めて中継の交渉をしてきた。南米王者のブラジル、世界ランク1位の米国、東京オリンピック(五輪)金メダルのカナダが集う大会だが「残念ながら、買い手がつかなかった」という。

 そもそも放映権料が高くなっていることも、背景にはある。

 米国では昨年、全米女子サッカー(NWSL)の総観客数が100万人を超えるなど、女子サッカーの人気が高い。欧州でも女子サッカーへの投資が進み、放映権料は上がっている。

 日本のあるテレビ局関係者は打ち明ける。

 「中継するとなれば、放映権のほかに制作費や衛星通信の費用などもかかる。どの局も経営状況は厳しい。国内で盛り上がっている機運がないと……」

 本来、2月は冬季スポーツやプロ野球キャンプを除いて他競技のスポーツ中継が少ない。それでも、放映には至らなかった。円安も響いているという。

 W杯の中継局がまだ定まっていないことも理由だ。

 別のテレビ局関係者は話す…

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    後藤太輔
    (朝日新聞スポーツ部次長=子ども、社会)
    2023年2月20日12時32分 投稿
    【提案】

     日本のスポーツの男女格差は、機会の不平等からきていると私は考えています。  日本は、女子サッカーの登録者数は約2万8千人。全体は82万7千人。女子の割合は3.4%。米国と比べるとその差の大きさがわかります。 米国の大学の女子スポーツ選

    …続きを読む
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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2023年2月20日15時52分 投稿
    【視点】

    日本スポーツ界の男女格差については、職場の同僚でもある後藤太輔さんのコメントプラスをお読みいただければと思います。私が注目したのは、日本サッカー協会女子委員長、ノリさんこと佐々木則夫さんの反省の弁です。「テレビだけじゃなく、ネットでも方法は

    …続きを読む