細る市の財政……高校生が考えた将来の公共施設像は

福田祥史
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 人口減少と高齢化が進む中、いまの学校や公民館をどうするのか。公共施設のあり方を考える市民フォーラムを、茨城県龍ケ崎市が開いた。若い世代にこそ関心を持ってほしいと、高校の体育館を会場にした。参加した生徒たちが考えた将来の公共施設は――。

 フォーラムは市内の県立竜ケ崎第二高校で、3日に開かれた。同校の2年生全員約150人と一般からの約30人が参加。官民連携による公共施設の整備に詳しい元自治体職員と木造建築会社の社長が講演し、同校の生徒5人らを交えてパネル討論をした。

 講演では、官民連携による新しい公共施設整備の事例などが紹介された。討論では、「こんな学校になったらいい」などを題材に、意見を出し合った。フォーラムを通じて、生徒たちはどう考えたのか。終了後、討論に参加した5人に改めて聞いてみた。

 討論で「学校におしゃれなカフェがあればいいと思う」と発言した諸岡沙季さんは、「そこに地域の人も来られたら、施設が無駄にならず、交流もできる」。滝沢日菜乃さんは「少子化で人数が減って学校に空き教室があるので、それを利用して、講師を招いたカルチャースクールみたいなものができたらなと思う」。

 今の公共施設について、青木優人さんは「老朽化が進んでいて、入りたくないなという気持ちになる」と指摘。坪内零羅(れいら)さんは「性別や障害の有無に関係なく使えるような、平等性が大事だと思う」と話した。

 図書館や文化会館をよく使うという佐々木詩藍(うらん)さんは「イベントがもっとたくさんあれば、楽しめる。何か計画するときは、行政と地域の人が話し合うことが大事になる」と語った。

 市によると、市内の公共施設は、学校を中心に、多くがニュータウン開発などに合わせて1980年代~2000年代前半に整備され、今後、一斉に改修・更新時期を迎える。今ある施設をそのまま維持していく場合、今後29年間に必要な費用は年間平均18・9億円に上ると試算されるが、実際に充てられたのは過去5年間で年間平均12・65億円にとどまる。

 今後さらに人口減少と高齢化が進めば、市の歳入は減る。社会保障費などの高止まりは続き、今の財政運営では、32年度には収支不足が64億円まで積み上がって、貯金に当たる一般基金残高とほぼ同じになってしまう試算もある。公共施設の維持は一層困難になる。

 市は15年度に公共施設などの総合管理計画を作り、51年度までに床面積30%削減を目標に、施設の統廃合などの再編成を進めている。フォーラムは、こうした状況を知ってもらい、再編成の必要性をわかってもらおうと企画した。

 市の担当者は「公共施設が減ると言うと、行政サービスが下がると思われがちだが、施設の複合化などでもっとおもしろい空間ができることなどを理解してほしい」と話す。(福田祥史)

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