第17回マルチリンガルのIT技術者「日本にどれだけいる?」 変わる難民像

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 難民の受け入れは各国で世論を二分する問題になっている。受け入れが「負担」と考えられているからだ。だが、そうなのか。

 アフリカ大陸から来たその男性は、物腰が柔らかく、英語もフランス語も話す。大学院で学び、IT技術者としてのキャリアもある。

 日本に着いてしばらく、ホームレス生活を送っていた。

 日本に来たのは、観光でも仕事でもない。祖国から逃れ、安全に暮らせるならどこでも良かった。たまたまたどり着いた日本で、男性は難民申請をした。

 男性の人生は、祖国のコンゴ民主共和国で一変した。金融の仕事で、ある有力者の汚職と脱税を知ってしまったのだという。

 当局に報告すると、パソコンは押収された。米国務省などの報告によると、コンゴ民主共和国では公務員らによる汚職が深刻で、治安当局などによる民間人への不当な逮捕、拷問、殺害なども多数報告されている。

 「権力者は何だってできる」。男性は国外脱出を決意。上司が誘拐されたのを知ったのは、後のことだ。たまたま短期滞在のビザが取れたのが日本だった。

難民申請者と企業、NPOがつなぐ 「希望取り戻した」

 2019年秋に来日。日本で…

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    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2023年2月21日10時59分 投稿
    【視点】

    これまで多くの難民の方とお目にかかる中で、人格的にも教養的にも優れている方がたくさんいます。実際、難民の子どもが支援によって教育を受け、医師の資格をとって、今では避難先のコミュニティで診療にあたるなど大活躍している例もあります。日本において

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