1984年の滋賀「日野町事件」 27日に再審可否判断へ 大阪高裁

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森下裕介

 1984年に滋賀県日野町で酒店経営の女性(当時69)が殺害され、金庫が奪われた「日野町事件」で、強盗殺人罪で無期懲役判決が確定し、服役中に病死した阪原弘(ひろむ)・元被告(当時75)について、大阪高裁(石川恭司裁判長)が27日、再審を認めるかどうかの決定を出す。弁護団が13日、明らかにした。

 2018年に大津地裁が再審開始の決定を出し、検察側が抗告していた。遺族が請求する「死後再審」のうち、無期懲役または死刑判決に対する再審開始決定が出たのは戦後初めてで、高裁の判断が注目される。

 元被告は事件発生の3年後に逮捕され、捜査段階では犯行を自白したが、公判では無罪を主張した。95年の一審・大津地裁判決は、自白の信用性は否定した。一方、酒店の机の引き出しにあった鏡から元被告の指紋が見つかったことや、元被告が遺体や金庫の発見現場を警察官に案内できたことなどの間接事実から有罪と判断し、無期懲役を言い渡した。

 97年の二審・大阪高裁判決は一転、間接事実だけでは不十分なものの、自白の根幹部分は信用できるとして無期懲役を維持。最高裁が00年に元被告の上告を棄却し、確定した。元被告は再審請求中の11年に病死し、遺族が12年に改めて再審請求をした。

 18年の大津地裁決定は、弁護団が依頼した専門医による鑑定書などを踏まえ、女性の遺体の損傷状況と元被告の自白の内容は整合せず、信用できないと指摘。警察官から断片的な情報を提供された結果、金庫などの発見現場を案内できた可能性もあるとし、元被告を有罪とするには「合理的な疑いがある」と判断した。

 検察側は即時抗告審で、元被告の自白は信用できると主張。引き当て捜査を巡る地裁の判断も「臆測に過ぎず、合理性や論理性を欠く」とし、再審開始決定を取り消すよう求めている。(森下裕介)

■「日野町事件」をめぐる経緯

1984年12月 滋賀県日野町の酒店経営の女性(当時69)が行方不明に

 85年1月 町内の宅地造成…

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