捨てられるはずの駅看板、救った駅員 鮮やかに復活した昭和スタイル

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伊藤唯行
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 東京に旅立つ若者や、久しぶりに帰省した家族の頭上に、「あおもり駅」の看板は緑色に輝いていた。JR青森駅の新たな駅舎建設に伴い、旧駅舎が解体されたことで、捨てられる運命だった駅のシンボルを救ったのは、地元出身の駅員の熱い思いだった。

 「あおもり駅」の看板が初めて登場したのは、JR東日本青森支店によると、1969(昭和44)年12月。同社に残る文献には、「ネオン式の看板を設置」と記されている。

 当時はまだ青函連絡船が運航しており、青森駅には東京との間を往復する夜行列車が何本も発着する時代。駅舎の上に掲げられた看板は、行き交う人たちを見守ってきた。

 この看板は、昭和50年代半ばに2代目に交代したとみられる。文字の形は少し変わったものの、「あおもり」は平仮名、「駅」は漢字で、緑色というスタイルはそのまま引き継いだ。

捨てられる運命、それが一転……

 2代目は昭和、平成、令和の三つの時代を生き抜いたが、旧駅舎が2021年3月に廃止され、その役目を終えた。取り壊しが始まると看板は外され、捨てられるまでの間、駅の倉庫に無造作に積まれていた。

 この看板をたまたま見つけたのが、半年後に青森営業統括センターの副所長として青森駅に赴任した山口智さん(47)だった。

 青森市出身の山口さんは社内…

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この記事を書いた人
伊藤唯行
奈良総局長
専門・関心分野
街ダネ、地方自治