欧米で広がる同性婚、進まない日本 識者は「人権保障は国の義務」
同性婚やパートナーシップ制度が国レベルで整備されていないのは、主要7カ国(G7)では日本だけです。同性婚の法制化について岸田文雄首相は「社会が変わってしまう課題」だとして慎重な姿勢を見せました。なぜ、日本では同性婚が認められないのでしょうか。国際人権法に詳しい青山学院大学の谷口洋幸教授に話を聞きました。
――性的少数者や同性婚をめぐり、「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」と発言した首相秘書官が更迭される事態となりました。
昨年のG7の首脳コミュニケには、性的指向や性自認による差別からの保護が書き込まれています。日本は今年のG7の議長国です。こうした発言をする人間を首相秘書官に置いていたということで、外交的な信頼を損なうものと危惧します。
――世界では、どれぐらいの国が同性婚を認めているのでしょうか。
法律で認めたり、裁判の判決で事実上認めたりと様々ですが、現在は33の国と地域で性別による制限のない婚姻が認められています。また、国レベルで同性間のパートナーシップ制度を導入している例もあります。2001年にオランダが世界で初めて法制化しましたが、1989年にはデンマークでパートナーシップ制度ができるなど、欧米を中心に広がっています。
――同性婚が広がったきっかけは何だったのでしょうか。
複合的な要因があります。70年代後半から80年代にかけ、同性間の性行為を罰する「ソドミー法」を廃止する動きが欧米で相次ぎました。また、同性のパートナーが亡くなった後、残されたパートナーが住むところを奪われるなど不利益を被る事例も問題となりました。そうした流れが、同性カップルの制度的な保障につながっています。
なぜ欧米が中心?
――なぜ欧米中心だったのでしょうか。
国によって事情は異なります…
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