スズキから自主基準超えるセシウム検出、出荷自粛へ 福島・いわき
福地慶太郎 西堀岳路
福島県漁連は7日、同日朝にいわき市内で水揚げしたスズキから、1キロあたり85・5ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。独自に実施している抽出検査で判明した。国の基準は同100ベクレルだが、県漁連の自主基準の同50ベクレルを超えたため、県漁連はこの日県内で揚がったスズキをすべて回収し、安全性が確認されるまで出荷を自粛する。
県漁連が本格操業に向けた移行期に入った2021年4月以降、出荷の自粛は初めて。
県漁連では、魚種ごとに検査して同25ベクレル以上の魚が見つかると、県水産海洋研究センターで再度、精密検査している。今後、スズキの検体数を増やすなど検査を強化し、県が実施する分と合わせて1カ月ほど検出限界値未満が続くまで出荷を自粛するという。
スズキはこの時期の主力魚種で、今回の魚は、いわき市沖約8・8キロ、水深75メートル付近で漁獲されたという。
県水産課によると、スズキは広いエリアを回遊する。県による県沖のスズキの検査では、16年4月に1キロあたり87ベクレルを記録したが、その後は検出限界値未満が続き、18年4月に国の出荷制限が解除された。解除後もほとんどで検出限界値未満が続いている。
原発事故後、県沖では最大44魚種に国の出荷制限が出たが、いったんは全魚種で解除された。その後、昨年1月にクロソイから1373ベクレルが検出され、現在も唯一、クロソイに出荷制限がかかっている。(福地慶太郎、西堀岳路)…