築110年超のレトロ駅舎が解体へ 小津映画のラストシーン彩る

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臼井昭仁
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 110年以上前に建てられた三重県玉城町にあるJR参宮線・田丸駅の駅舎が、近く解体されることになった。故小津安二郎監督による映画の撮影にも使われたとされる趣のある建物で、住民の愛着も深い。そこで町は、跡地に外観の意匠を残した交流施設を駅舎として建てる計画をまとめた。

 「通学でいっぱいお世話になりました。寂しいです」「迎えに来ていた父の姿も懐かしい」「売店によくお菓子を買いに」……。田丸駅の待合室を訪れると、感謝の言葉で埋まった大きな紙を目にする。

 駅舎は1912(大正元)年に建てられた。瓦ぶきの木造平屋で広さは155平方メートル。筆書きの駅名看板、木製のベンチ、引き戸とレトロな雰囲気が漂う。

 「幼かったころ、乗るときは駅員さんがホームまで連れていってくれました」「帰省するたびに駅舎を見て、感慨深い気持ちになったものです」。津田久美子さん(50)は、そう振り返る。津田さんは住民団体「田丸駅でつながるまちづくり協議会」の副代表で、駅舎の保存を訴えてきた。

 町総務政策課によると、老朽化を理由に駅舎を解体するとJR東海から連絡があったのは2年ほど前。地方の古い駅舎は解体後、簡素な造りに建て替えられるとされていた。危機感を覚えた町は、引き取って保存することを前提に建物の耐震診断をした。

 その結果、大地震で倒壊する可能性が高いことがわかった。耐震化を図るにしても、外観を損ねるほどの規模の工事が必要で、保存は困難と結論づけた。

 そこで、解体後の跡地をJR…

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この記事を書いた人
臼井昭仁
半田支局長
専門・関心分野
農林水産業、運輸、過疎問題