特殊詐欺の被害額、8年ぶり増加し361億円 トップの検挙はわずか

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編集委員・吉田伸八
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 オレオレ詐欺など特殊詐欺の昨年の被害額が361億4千万円(暫定値)で、前年を28・2%上回って8年ぶりに増加に転じたことが警察庁のまとめでわかった。被害件数も、前年比20・8%増の1万7520件で2年連続で増加した。特殊詐欺グループの幹部らには捜査が及びにくく、トップの検挙が全体の1・9%にとどまることが被害が減らない要因の一つとなっている。

 特殊詐欺の被害はコロナ禍の2020~21年は減少傾向を示していた。警察庁は、感染状況の変化が犯人側の動きに影響した可能性もあるとみている。

 コロナ禍前より被害が増えたのは、医療費などが戻ると偽りATMを操作させて振り込ませる還付金詐欺で、被害額は53億7千万円(前年比18・9%増)、被害件数は4679件(同16・9%増)だった。身内などをかたるオレオレ詐欺の被害は127億1千万円(同40・3%増)、4278件(同38・7%増)で前年から大きく増えたものの、コロナ禍前より件数は少なかった。

 警察官などを装った電話で「キャッシュカードが不正に使われた」と偽り、被害者宅を訪れてカードをすり替えて盗む手口の被害は43億3千万円(同9・7%増)、3051件(同17・3%増)。フィリピンを拠点としたグループのリーダー格として日本側が身柄の引き渡しを求めている渡辺優樹容疑者(38)らは、この手口の窃盗容疑で逮捕状が出ている。

 このグループによる被害は20年6月までの2年半余りで60億円以上といい、渡辺容疑者らはSNS上で闇バイトに応募した若者らに実行役を担わせていた。

 警察庁の2日の発表では、特…

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