急増フードバンク、大半は小規模 コロナ、物価…ニーズ増も課題多く

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井岡諒
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 食料品を生活困窮者らに配る「フードバンク」が急増している。コロナ禍や物価高などでニーズが拡大しているためだが、大半は小規模で運営も安定していない。食料支援の枠組みを強化しようと、行政も乗り出した。

 フードバンクは、賞味期限が近い防災備蓄品やパッケージの印字ミスなどで売れない商品を企業から受け取り、困窮者らの支援につなげる取り組み。米国発祥で、日本では2010年ごろから増え始めた(グラフ参照)。農林水産省によると、コロナ前の19年度には120団体だったが、昨年10月末時点で215団体まで増えた。

 背景には、フードバンクなどから食品の提供を受ける子ども食堂が、コロナ禍の間に広がったことがある。NPO法人・全国こども食堂支援センター「むすびえ」(東京)の調査によると、全国の子ども食堂は19年に3718カ所だったが、22年は7331カ所に。

 新型コロナウイルスの感染リスクを抑えるため、食品を家庭に無料配布する「フードパントリー」が増加していることも大きい。家族で食べるケースが多く、必要量はさらに膨らんでいる。

 03年に設立され、神戸や阪神間の子ども食堂などを支援してきたフードバンク関西神戸市東灘区)。1月中旬に訪れると、食品が詰まった段ボール箱が山積みになった事務所で、ボランティアがせわしなく仕分け作業をしていた。コロナ前の年間取扱量は200トン前後で推移していたが、21年度は282トンに達した。中島真紀代表(64)は「コロナに物価高が追い打ちをかけ、食べ物がなくて困っている人が自ら声を上げるようになった」と実感している。

 フードバンクの数は増えたものの、課題は残る。

 全国のフードバンクのうち…

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