神宮球場やラグビー場、外苑再開発着工へ 自然や景観への影響懸念も

土舘聡一
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 明治神宮外苑地区の再開発計画は、環境影響評価(アセスメント)の評価書が事業者から提出され、都が認可すれば着工されることとなった。小池百合子知事は20日、「手続きは条例にのっとって厳正に進めていく」と述べた。ただ、景観や自然への影響を懸念し、計画に反対する声は根強くある。

 定例記者会見で小池知事は「環境影響評価書は審議会で専門的な立場から指摘された助言を踏まえて作成された。先人たちの思いを引き継いで100年先の未来につなげるまちづくりに、真摯(しんし)に事業者の皆さんには取り組んでほしい」と話した。今後、事業者側が出す着工届を都が認可すれば、着工できる。

 都が事業者から受理して公開した評価書によると、再開発では神宮球場秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て直し、二つの高層ビルを建てる。2035年までに完成予定。評価書では、生態系への影響について「神宮外苑の豊かな自然環境は維持・保全される」としている。

 評価書を巡っては、事業者側の案が昨年8月にいったん了承されたものの、さらに説明が必要として環境影響評価審議会による確認が続いていた。区域内の樹木の伐採計画は当初の971本から最終的に556本に減った。

 再開発計画に対しては、イチョウの生育を妨げる恐れがあるなどとして、文化遺産保存の専門家らでつくる日本イコモス国内委員会が見直しを提言するなどした。都によると、樹木に与える影響などの調査が続いており、その結果を受けて必要な施工変更を講じることが評価書に記載されたという。(土舘聡一)

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