ウクライナ侵攻11カ月、増え続ける両軍の死者数 今年に入り急増か

杉山正

 ロシアによるウクライナ侵攻から24日で11カ月を迎える。終わりの見えない戦争で、前線の兵士の死傷者の数は増え続けている。ただ、正確な数はウクライナ、ロシアとも明らかになっていない。

 ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は昨年12月、地元テレビで、ウクライナ軍の兵士の死者数について、「公式な評価」として1万~1万3千人と述べた。一方で、ロシア軍兵士の死者数は10万人に上ると強調した。英BBCによると、ポドリャク氏は6月の時点では、毎日100~200人のウクライナ兵が亡くなっているとしていた。

 死傷者数をめぐっては、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長がロシア軍の死傷者について「10万人以上」とし、ウクライナ軍についても「恐らく同様である」と述べている。

 一方、ロシア政府は死者数について、9月に「5937人」とした以降に明らかにしていない。

 BBCがロシアの独立系メディア「メディアゾナ」と調査したロシア兵の死者数は、名前が確認できた者だけで1月6日時点で1万1009人に上る。最も少ない推定でも2万2千人以上としている。

 今年に入り、東部ドネツク州などでの攻防戦が激化しており、両軍での死傷者が急増している可能性がある。

 CNNは今月11日、同州の激戦地ソレダルで戦うウクライナ兵の発言として、「(死者が多いため)誰も何人が死亡したのかを数えていない。誰も分からない」と伝えた。一方、同州マキイウカでは同月1日未明、ロシア軍の臨時兵舎をウクライナ軍が高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」で攻撃。ロシア国防省は、ロシア兵89人が死亡したとしているが、ウクライナ側はロシア兵の死者は約400人、負傷者約300人と発表した…

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この記事を書いた人
杉山正
ヨーロッパ総局長
専門・関心分野
国際政治、紛争、外交、民主主義