税を「取られ損」と感じる日本 公共心が足りないのは誰だ

有料記事

[PR]

経済季評 竹内幹・一橋大学准教授

 ある企業の役員に招かれて議論をしたことがある。4人家族でも悠に暮らせそうな広さの役員室に通されると、元高級官僚の役員が私に問いかけた。「どうして日本人は、税を『取られ損』と感じてしまうのか。公共心が足りないのではないか」

たけうち・かん 1974年生まれ。一橋大学准教授。米ミシガン大博士。研究テーマは実験経済学、行動経済学。

 興味深い問いだ。税は、社会に不可欠な公共財の財源であり、社会を支えるための拠出金ともいえる。納税者にその認識があれば、取られ損とは感じないはずだという。増税議論が熱をおびる今、正面から答える必要がありそうだ。

 まずは、身の回りの公共サービスにかかる費用を把握してみよう。たとえば、消防やごみ処理だけでも年4兆円以上かかっており、1世帯あたりでは年7万円相当だ。公立学校に通う子がいれば、1人あたり年90万円前後を政府が負担している。

 しかし、自分が利用する公共…

この記事は有料記事です。残り1685文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    若新雄純
    (プロデューサー・慶応大特任准教授)
    2023年1月19日18時16分 投稿
    【視点】

    勝ち組たちの公共心を育むには、今の自分の富は実力より運(だから分配しよう)という意識が大切だと思う。

    …続きを読む