住友林業が建設中の風力発電事業中止へ 津・青山高原

菊地洋行
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 【三重】大手住宅メーカー住友林業(東京)が、津市白山町の青山高原で進めていた風力発電事業を取りやめることが、同社への取材でわかった。昨年11月の自主環境アセスメントの調査結果を踏まえ、「騒音が想定を超える可能性が高く、環境への影響、事業性を総合的に勘案した」という。

 住友林業は2018年、津市白山町に所有する私有林と借地の計約6ヘクタールを開発して、高さ121メートルの風車4基(出力計7・49メガワット)による再生可能エネルギー発電事業計画の認定を取得。22年3月の営業運転開始をめざし、20年7月に着工した。

 出力7・5メガワット未満の場合、環境アセスメントは必要ないが、近隣住民が「事前に説明がなかった」として計画に反発。健康被害の可能性を訴える住民もいたことから、21年11月に2基目の支柱建設の段階で工事を中断し、22年4月から住民説明会を開くとともに、要望を受けて環境アセスメントの追加調査をしていた。

 計画取りやめの決定は昨年末。住民には今月9日付で文書回答した。すでに建設中の2基の風車は今後、住民説明会を開いたうえで撤去する方針という。

 「住友林業の三重風力発電所に反対する地域住民の会」の山名利美代表(74)は「風車が撤去されることになり安堵(あんど)している。今後は環境保護のリーディングカンパニーとして事業展開し、近隣住民との共存をはかってほしい」という。

 再生可能エネルギー導入と環境問題の関係に詳しい日本自然保護協会の若松伸彦氏(環境学)は「騒音による計画中止は珍しい。建設に着手したうえで計画を中止し、撤去の方針まで示したのは賢明な判断」と話している。(菊地洋行)

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