夏の全線復旧へ南阿蘇鉄道が新車両 JR直通乗り入れへ
2016年の熊本地震で被災して部分運転が続く第三セクターの南阿蘇鉄道(熊本県高森町)が、今年夏の全線復旧に向けて新型車両2両を導入した。10日に納車式があり、復興のシンボルとなる白い車体が高森―中松(南阿蘇村)間をお披露目走行した。
同鉄道は熊本地震で線路やトンネル、鉄橋などが大きく損傷した。全線17・7キロのうち、比較的被害が少なかった高森―中松7・1キロは約3カ月半後に運転を再開。JR豊肥線など交通インフラが次々に復旧する中、最後に残った同鉄道の中松―立野10・6キロも工事が大詰めを迎えている。
同鉄道は全線復旧と同時にJR豊肥線肥後大津駅(大津町)への直通乗り入れを目指しており、沿線住民や観光客の利便性が大きく向上すると期待する。同駅から分岐する熊本空港アクセス鉄道の計画も進んでいる。
新型車両導入の事業費は4億3788万円。運行は1両編成が基本だが、2両連結時には貫通扉で車両間を行き来でき、ワンマン運転に対応する。座席は定員を確保するためボックス席ではなくロングシートにする一方、格納式シートベルトつきの車いすスペースを設けるなどバリアフリー化も図った。
JRへの乗り入れに対応した運転保安装置を搭載したほか、GPSに連動して車内放送などを完全自動化するなど最新のシステムを導入。外国人観光客向けに多言語の行き先表示器も備えている。
外装は、社員の意見をもとに運転士の宍戸優介さん(25)が図案を作った。車体側面には、沿線を流れる白川や点在する水源をイメージした青いラインが走り、緑のラインで雄大な阿蘇の山並みを描いた。
ロゴマークも、同鉄道の愛称「南鉄」の頭文字「n」を中央に置いた楕円(だえん)で阿蘇五岳と外輪山をデザイン。全10駅を数珠つなぎに描きこんでいる。
同鉄道の社長として納車式に臨んだ草村大成高森町長は「(全線復旧を)熊本地震からの創造的復興のシンボルとして、皆さんからよかったと言われるような再出発にしたい」と話していた。
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